ストレス軽減の特効薬「選択理論」
人間関係がうまくいかないとストレスがたまります。逆に人間関係がスムーズにいっているときのストレスの無さは非常に心地よいものです。少しでも人間関係をしなやかにする方法を身につければ、人生はもっと楽しくなるはずです。
人間関係をしなやかにする たったひとつのルール はじめての選択理論
この「人間関係をしなやかにする たったひとつのルール はじめての選択理論」では、人間がより幸せに生きていくにはどうしたらよいのか?という問題を「選択理論」という心理学を用て解決します。
選択理論を知れば人間関係はしなやかになる
選択理論とはアメリカの精神科医ウイリアム・グラッサー博士が発表した心理学です。
「私は自分だけを変えることができる」 「相手(他人)を変えることはできない、コントロールできるのは自分だけ」 そう確信できた人だけが、選択理論アイランドに住民票を持つことができるのです。
本書では、選択理論を身につけた人とそうでない人を「選択理論アイランド」に住む人と「外的コントロールアイランド」に住む人というふうに分けて説明しています。
外的コントロール理論
選択理論を知るには、その対極となる「外的コントロール理論」について知っておく必要があります。
第一信条 「私は外側からの簡単なシグナルに反応して行動する」
第二信条 「私は、人がしたくないことでも、自分の思うようにさせることができる」「他の人も、私の行動、思考、感情をコントロールすることができる」
第三信条「私の言う通りにしない人を馬鹿にし、脅し、罰を与える、あるいは、言うことを聞く人に褒美を与えることは正しいことであり、私の道義的責任である」
全行動の4要素
もうひとつ選択理論を理解するのに必要なのが「全行動の4要素」です。選択理論では人間の行動を「行為」「思考」「感情」「生理反応」という4つの行動(全行動)という概念で説明します。人間の行動は常にこれらの4つが絡み合って構成されています。
この4要素はよく自動車の車輪に例えられます。
[前輪1] 思考
[前輪2] 行為
[後輪1] 生理反応
[後輪2] 感情
自らコントロールできるのは前輪です(思考と行為)。
自らコントロールできないのが後輪です(生理反応と感情)。
つまりこういうことです。
会社でいやなことがあった。そのいやなことを考え(思考)部屋に閉じこもる(行為)。そして不安になったりイライラしたりして(感情)鬱(生理反応)になる。このように、自らコントロールできる前輪の進行方向(悪い方向へ)に引っ張られる形で後輪も悪い方向についてきます。車の進行方向を実現したい未来(問題解決)と考えるとより分かりやすいですね。
「選択理論」はストレス軽減の特効薬
例えば会社でよくあるこんな状況を思い浮かべてみてください。
会社の課長と係長からY君あてに、同じ案件について違う指示がメールで送られてしまいました。
選択理論を働かせない場合は・・・
Y君:「課長と係長の指示が違うから、私はどうして良いか分からない。だから私は何もできない!」と同僚に愚痴る。
これは何もできない原因を「課長と係長の指示が違うから」というところに見出しています。
これは外的コントロールの第一信条「私は外側からの簡単なシグナルに反応して行動する」を認めていることになります。できない理由を他人に見出し、あえて問題解決から遠ざかる。これでは自ら進んでストレスを溜め込んでいるようなものです。
では同じ状況で選択理論を働かせると・・・
Y君:「課長と係長の指示が違うから、直接課長と係長に聞いてみよう」と自ら「聞いてみる」という行動を選択する。
「指示を元に何かをしよう」とする自分の欲求に対して、自ら選択をして行動をする。こっちの方が問題解決への近道ですし、結果はどうあれがストレスが少なくてすみます。
このように選択理論を働かせれば、人間関係がしなやかになりストレスが軽減されるのです。私はこの考え方をとても気に入りました。最近では強く意識するよう心がけています。
本著はストーリー仕立てで話が展開されていてとてもわかりやすいので、選択理論についてさらに詳しく知りたい人には絶対にお勧めの一冊です。